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看護・医療現場における心理的安全性とは?高めるためのスキルや実践例を徹底解説!
2026.05.19
医療現場で「意見を言いにくい」「ミスを報告しづらい」と感じたことはありませんか?
心理的安全性とは、職場の中で自分の考えや疑問、失敗を否定される不安なく率直に共有できる状態を指します。
言葉は知っていても、忙しい現場でどう実践すればよいのか悩む人は少なくありません。
安心して発言できる環境は医療安全の確保とチームの信頼関係づくりの土台です。
この記事では、心理的安全の概念と求められるスキル、現場ですぐに取り入れられる実践アイデアを解説します!
心理的安全性とは?
心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや疑問、失敗を気兼ねなく共有できる状態を指す概念です。
上司や同僚から「バカにされないだろうか」「叱られないだろうか」という不安が払拭された環境であるとも言えます。
ハーバード大学のエドモンドソン教授の研究により、チームの成果を左右する重要な土台として注目されるようになりました。
なぜ心理的安全性が医療分野で必要?
心理的安全性が医療分野で必要な理由は、「言えない空気」が患者さんの命に直結するからです。
「おかしい」と気づいても「怒られそう」「場の空気を乱したくない」という不安が先に立てば、その一言は胸の中に埋もれたままになってしまいます。医療事故の一部はこうした「言えない空気」から生まれます。
誰もが安心して発言できる環境は、情報共有を促進し、医療安全とチーム全体のパフォーマンス向上を支える土台となるのです。
心理的安全性を高めるために必要なスキルとは?
医療現場において、心理的安全性を高めるために必要なスキルは、以下の5つです。
・オープンコミュニケーション
・共感と傾聴の姿勢
・誤りを許容する文化
・チーム全体の信頼関係
・リーダーシップ
心理的安全性を高めるには、制度だけでなく、日々のコミュニケーションやチームの関係性づくりが重要です。
ここでは、その基盤となる5つのスキルを解説します。
オープンコミュニケーション
オープンコミュニケーションとは、立場や職種に関わらず、誰もが意見や提案を自由に発言できるコミュニケーションのあり方を指します。心理的安全性の確立には、こうしたオープンコミュニケーションが不可欠です。リーダーやチームメンバーが発言を歓迎する姿勢を積極的に示し、どんな内容のことでも一度受け入れる態度が重要となってきます。
例えば、以下のような発言がオープンコミュニケーションを促進します。
言葉かけの例
「何か気づいたことがあれば教えてほしい」
「あなたはどう思っているのか意見が聞きたい」
共感と傾聴の姿勢
医療者同士の対話は、情報共有だけでなく感情や不安を伴う場面も多くあります。相手の気持ちを理解し受け止める共感と傾聴の姿勢は、心理的安全性を高める重要な要素です。共感と傾聴の姿勢で、重要なのは次の2点です。
・アクティブリスニング
・非言語的コミュニケーション
アクティブリスニング
アクティブリスニングとは、相手の話を受け身で聞くのではなく、理解しようと意図的に関わりながら聴く姿勢を指します。言葉の背景にある感情や意図まで汲み取ることで、「安心して話せる」という信頼感が生まれます。
非言語的コミュニケーション
非言語的コミュニケーションとは、言葉を使わずにアイコンタクトやうなずき、姿勢・声のトーンなどを通じて気持ちや意図を伝えるコミュニケーションの手法を指します。
こうした非言語的な要素は、言葉以上に「話しやすさ」や「安心感」を左右することがあります。どれだけ親切な言葉をかけていても、腕を組んだまま視線を合わせなければ、相手には「話を聞いてもらえていない」と伝わってしまうこともあります。態度や表情が醸し出す雰囲気が、心理的安全性を支える土台のひとつになるのです。
誤りを許容する文化
誤りを許容する文化とは、ミスやインシデントを責める対象としてではなく、チーム全体で学び改善するための機会として捉える組織風土のことを指します。
医療現場のミスやインシデントは重大な結果につながる可能性がありますが、同時に改善の機会でもあります。
心理的安全性が低い職場では「報告すると責められるかもしれない」と隠蔽が起こり、問題が表面化しません。
こうした文化が根付くことで、リスクの早期発見と医療安全の向上、組織全体の学習と改善が促進されます。
チーム全体の信頼関係
心理的安全性は個々のスキルだけではなく、チーム全体の信頼関係の中で培われるものです。
チーム全体の信頼関係を高めるためには、以下の2つが重要となります。
・透明性のある情報共有
・共通のビジョンの共有
透明性のある情報共有
透明性のある情報共有とは、状況や判断の背景をチームメンバー全員にオープンに伝え、情報の偏りや遅れが生じないようにする取り組みを指します。
チーム内で情報が偏ったり共有が遅れたりすると、不信感や誤解が生じ、心理的安全性は低下します。メンバーが状況を正しく把握できている環境では、安心して行動しやすくなります。特に重要な意思決定や状況の変化に関する情報はメンバー全員に伝達することが重要です。
共通のビジョンの共有
共通のビジョンの共有とは、チームが目指す方向性や目標をメンバー全員で認識し合うことを指します。
チームの目指す方向性が一致していないと、判断基準がばらつき、対立や迷いが生じやすくなります。患者安全や医療の質向上といった共通の目標を共有することで、メンバーは安心して意見を出し合えるようになります。
リーダーシップ
リーダーシップとは、チームが安心して力を発揮できる環境をつくるために、リーダーが率先して行動し、メンバーに影響を与えていく姿勢や能力のことを指します。
心理的安全性を高めるうえで、リーダーの姿勢は極めて重要です。リーダーが誤りを率直に認め、メンバーの意見を求める姿勢はチーム全体に波及し、発言しやすい雰囲気をつくります。また、感情的な叱責ではなく冷静で公平な態度を保つことが、職員に安心感を与え、信頼関係の構築につながります。
医療・看護現場での心理的安全性の高める実践アイデア3選!
心理的安全性を高める活動は、特別な研修を待つ必要はありません。日々の業務の中にある「小さなやり取り」を変えることから始まります。
ここでは、現場ですぐに実践できるアイデアを3つ紹介します。
・アイデア①「サンクスカード」によるポジティブなフィードバック
・アイデア② インシデント報告を「ナイスキャッチ」と称賛する文化
・アイデア③ 多職種カンファレンスでの「一人一回発言ルール」
アイデア①「サンクスカード」によるポジティブなフィードバック
言葉では照れくさくて伝えにくい感謝の気持ちを、小さなカードやチャットツールで送り合う取り組みです。
例えば、「ルート確保の手際が良くて助かった」「忙しい中、ナースコール対応を代わってくれてありがとう」など、日常の些細な行動を言語化して文字として伝えます。
効果
自分の行動が認められているという安心感が、チームへの信頼を深めます。心理的安全性の土台である「相互承認」が強化され、離職率の大幅な低下を実現したケースも少なくありません。
アイデア② インシデント報告を「ナイスキャッチ」と称賛する文化
ミスをした個人を責めるのではなく、そのミスを報告したことを「事故を未然に防いだ貢献」と捉え、ポジティブに評価する文化を構築します。
効果
報告への心理的なハードルが下がり、潜在的なリスクが早期に可視化されるようになります。結果として、医療安全のレベルが格段に向上し、チーム全体で改善策をシェアする習慣が根付きます。
アイデア③ 多職種カンファレンスでの「一人一回発言ルール」
医師、看護師、薬剤師、リハビリ職などが集まる場で、職種やキャリアに関係なく全員が必ず意見を出す時間を設けた取り組み例です。専門的な意見だけでなく、些細なことでも良いので、全員が一度は言葉を発するルールを定着させます。
効果
「自分の視点もチームに貢献している」という意識が芽生え、職種間の壁が低くなります。一見小さな疑問から重大なリスクが見つかるケースも増え、多角的な視点による医療の質向上と、チームの信頼関係の維持につながります。
まとめ
心理的安全性は、医療現場の医療安全と職場環境を支える土台です。率直な意見や気づきを安心して共有できる雰囲気が、ミスやリスクの早期発見と報告を促し、チーム全体での改善行動につながります。本記事で紹介したスキルや実践例は日常業務の中で取り入れやすく、信頼関係の構築や職種間連携の向上、離職防止にも寄与します。
心理的安全性を高める取り組みで、安全で質の高い医療提供への第一歩を踏み出してみませんか?
参考:
1)アステッキホールディングス株式会社(編).医療マネジメント認定士 公式テキスト.アステッキホールディングス株式会社.
2)田淵仁志(編).医療安全BOOKS10 医療・看護現場の心理的安全性のすすめ ―成果につながる、実践にいかすQ&A.
3)e-Riskn(編). 心理的安全性を高めて、インシデント報告文化の醸成へ.2023.
4)看護roo!(編). 職場環境の心理的安全性を確保する.2025.
5)THANKS GIFT(編). 医療・福祉業界におけるサンクスカード活用メリット・事例まとめ.2025.

現場の心理的安全性を高め、強固なチームを築くには、個人の経験だけでなく体系的なマネジメント知識が不可欠です。
「医療マネジメント認定士」の資格取得を通じて、医療安全、リーダーシップを基礎から学んでみませんか?
現場を変える確かなスキルを身につけ、質の高い医療提供を実現しましょう!









