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医療現場の質を高める「医療コミュニケーション」とマネジメントスキルの重要性
2026.02.17
医療技術がどれほど進歩しても、
医療の根幹にあるのは「人」と「人」との関係 です。
現在、多くの病院や医療機関において、医療の質と安全を支える基盤として、
医療コミュニケーションの重要性が改めて注目されています。
しかし、現場で働く皆さんの中には、
「コミュニケーションが大事なのはわかっているけれど、それ自体が負担になっている」
と感じている方も多いのではないでしょうか?
今回は、医療現場特有のコミュニケーションの難しさと、
それを解決するマネジメントの視点について解説します。
Contents
医療の質と安全を左右する「医療コミュニケーション」とは?
医療コミュニケーションとは、医療現場で必要とされる
患者さん・家族・医療同士の相互理解を深めるためのコミュニケーション
のことです。
医療コミュニケーションは、単に情報を正確に伝える行為にとどまりません。
患者さんや家族の気持ち、不安、背景を理解し、
その立場に寄り添った対応を行うことが求められます。
また、医師をはじめとする医療者同士の関係においても、
互いの役割や専門性、限界を理解し、
職種連携を意識しながらチーム医療を成立させていく必要があります。
しかし現場では、高度な医療コミュニケーションスキルが個人に求められ続けることで、
医療従事者が精神的・身体的に疲弊してしまうケースも少なくありません。
「自分が調整しなければ現場が回らない」と無理を重ねることで、
結果的に医療の質が低下してしまうという皮肉な状況も起きてしまいます。
医療現場におけるコミュニケーションの特殊性とは?
医療コミュニケーションには、他業種にはない「特殊なストレス」が存在します。
この特殊性を理解することが、コミュニケーション不全の解決の鍵となります。
医療現場におけるコミュニケーションの特殊性については、以下の2つの項目に分けて解説していきます。
1.患者・家族との医療コミュニケーション
医療現場における患者・家族とのコミュニケーションは、
一般的な対人コミュニケーションとは大きく異なります。
患者が安心して医療を受けるためには、情報の正確さに加え、
言葉の選び方や対話の姿勢といった高度なコミュニケーションスキルが
求められているのです。
患者さんが病気や治療に対する不安や恐怖を抱えた
マイナスの状態からコミュニケーションが始まることが多く、
時には行き場のない不安や怒りを医療者に対して向けられることもあります。
それが実際には医療者に対してのものではなく、
病気への怒りが置き換えられたものだと分かってはいても、
感情を受け止めケアすることは精神的な疲弊に繋がります。
看護師をはじめとする医療従事者の仕事が感情労働と言われる所以で、
バーンアウト(燃え尽き症候群)の原因となることも多いでしょう。
だからこそ医療コミュニケーションの特殊性を理解し、
個人の努力だけでなく、組織としてのセルフケアやストレス予防の視点が不可欠です。
2.同僚・多職種との医療コミュニケーション
医療はチームで提供されるものであり、
職種連携やチーム医療が円滑に機能するかどうかは、
医療コミュニケーションの質に大きく左右されます。
医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、管理栄養士など、
それぞれの職種が異なる立場や専門性を持つ中で、正確な情報共有と相互理解が不可欠です。
しかし現場では、忙しさや役割の違いから十分な対話の時間が確保できず、
必要な情報が伝わらないまま業務が進んでしまうこともあります。
例えば、夜勤中の若手看護師が血圧の変動が続いていることに気づいていながら、
「当直の〇〇先生、怖いからな…。この程度で報告したら怒られるかな。もう少し様子を見よう」と躊躇してしまい、
結果として対応が遅れてしまう――
こうした積み重ねが、業務効率の低下や人間関係の悪化、
さらには医療事故のリスクを高める要因となります。
医療者間のコミュニケーションでは、
互いの役割や限界を理解し、信頼関係を築くことが連携の鍵となると言えるでしょう。
医療コミュニケーション不全がもたらすリスク
病院やクリニックといった医療現場では、
些細な情報の行き違いや認識のズレが、医療事故やヒヤリハットにつながる可能性があります。
一方で、
対話が活発で情報共有が適切に行われている職場では、
問題が早期に発見され、リスクの分析や改善が進みやすくなります。
よく「ヒヤリハットの報告が多い病院は、医療安全のレベルが高い」と言われます。
これは、重大な事故に繋がる前の段階で、
スタッフが安心してヒヤリハットを報告できる環境が整っている証拠です。
ミスを責めず、分析して次に活かす。
この信頼関係の基盤こそが、医療コミュニケーションの本質なのです。
医療におけるコミュニケーションスキルとは?
主に医療者間のコミュニケーションで、
SBAR(エスバー)やteamstepps(チームステップス)、RCA分析など手法や、心理的安全性という
キーワードが話題に上ることがあります。
ここでは、医療現場で求められるコミュニケーションスキルについて、
以下の4つの項目に分けて簡単に解説していきます。
- SBAR(エスバー)とは?
SBAR(エスバー)は、医療現場で迅速かつ適切な情報共有を目的に開発されたコミュニケーション手法です。Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案)の頭文字から成り、緊急時などに患者の状況を簡潔に報告する際に活用されます。
- TeamSTEPPS(チームステップス)とは?
TeamSTEPPS(チームステップス)とは、米国で作成された医療現場におけるチームワークとコミュニケーションを改善し、チームのパフォーマンスと患者安全を向上させるための包括的なプログラムのことです。
- RCA分析とは?
RCA分析とは根本原因分析のことで、医療事故やインシデントが発生した際に、その根本的な原因を特定し、再発防止策を講じるための手法です。体系的に確立された分析手法であるため、医療安全における事故防止に大きな効果があると言われています。
- 心理的安全性とは?
心理的安全性とは、組織の中で立場に関係なく、自分の考えや不安を安心して発言できる状態を指します。「否定されない」「怒られない」という確信がある環境は、医療者間の対話を促し、医療安全と質の高い医療コミュニケーションを支える重要な基盤となります。
医療コミュニケーションを「個人任せ」にしないために
医療コミュニケーションは、医療の質と安全を支える重要な基盤です。
しかし、それを個人の努力や我慢に委ね続けることには限界があります。
SBARやTeamSTEPPS、心理的安全性といった考え方をマネジメントの視点で活かすことで、
チーム医療はより機能し、医療者も患者も安心できる現場が実現します。
自分と現場を守る一歩として、今こそ医療コミュニケーションを見直してみましょう。
参考:
- 1.アステッキホールディングス株式会社(編).医療マネジメント認定士 公式テキスト.アステッキホールディングス株式会社.
- 2.田淵仁志(編).医療安全BOOKS10 医療・看護現場の心理的安全性のすすめ ―成果につながる、実践にいかすQ&A.
- 3.ドクタービジョン+(編). 医療現場のコミュニケーションは何のため? ~システムで医療安全を守る.2023.
- 4.レジリエントメディカル. 【医療安全】RCA分析 インシデントの分析に有効な手法.
医療の質と安全を支える「医療コミュニケーション」は、
個人の努力だけでなく「マネジメント」の視点で改善すべき課題です。
そこで役立つのが、医療マネジメント認定士の資格です。
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