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クリティカルシンキングとは?|医療現場で必要な理由や実践方法を解説
2026.10.13
医療現場では、患者・利用者から得られるさまざまな情報をもとに、適切な判断や対応を行うことが求められます。しかし、得られた情報をそのまま受け入れたり、自分の経験や思い込みだけで判断したりすると、重要な情報を見落とす可能性があります。
そこで重要となるのが「クリティカルシンキング」です。
クリティカルシンキングとは、物事を多角的に捉え、前提や情報を疑いながら事実を確認し、根拠に基づいて判断する思考法です。
本稿では、クリティカルシンキングの基本的な考え方と、医療現場での具体的な実践方法について考えていきます。
Contents
クリティカルシンキング(批判的思考法)とは?
クリティカルシンキングとは物事や情報に対して、「自分の考えは本当に正しいのか?」といった疑問を持ち、思い込みや偏見を取り除き、批判的に考え、事実やデータに基づいて判断し、深く考えることを言います。
日本語では「批判的思考」と訳されますが、他者を否定したり非難することではなく、客観的に考えて物事を吟味し判断することを言います。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い
クリティカルシンキングに似た考え方にロジカルシンキング(論理的思考)というものがあります。
ロジカルシンキングとは物事に筋道を立てて、バイアスにとらわれずに論理的に分析し、考える思考法です。
そのため、ロジカルシンキングは最適な行動や結論に導くための「論理的な思考プロセス」であるのに対し、クリティカルシンキングは、その論理が本当に正しいのかどうかを疑い検証し、判断することを重視するという違いがあります。
これらの違いや特徴を理解し、相互に生かしながら、使い分けることでより根拠のある正しい結論を導くことができるでしょう。
医療現場でクリティカルシンキングが必要とされる理由
医療現場では、患者一人ひとりの状態やニーズに合わせて適切なケアを提供するために、クリティカルシンキングが重要です。
看護では、アセスメントから看護計画、介入、評価までの看護過程を繰り返しながら、検査値やバイタルサインなどの客観的な情報をもとに、「なぜこの症状が起きているのか」「今何をするべきなのか」を考える必要があります。
また、最初の判断をそのまま正しいと思い込まず、患者の状態や意思に合わせて計画を見直し、必要に応じて修正することも大切です。
さらに、医療現場では医師や薬剤師などさまざまな職種が関わるため、それぞれの専門的な視点から情報を共有し、多角的に検討することが求められます。自分の経験や考えだけに偏らず、他職種の意見も取り入れて判断することで、患者にとってより適切で安全な医療・看護の提供につながります。
また、それぞれの専門性を活かしながら協働できるため、医療の質を高めたり、医療過誤のリスクを減らすことができます。患者にとっても多職種が連携することでよりよい意思決定をすることに繋がります。
クリティカルシンキングを身につけるメリット
クリティカルシンキングを身につけるメリットとして以下の点が挙げられます。
根拠をもとに判断・意思決定できる
自分の主観や思い込みによる影響を意識しながら、客観的な数値やデータに基づいて行う思考のため、適切な判断や意思決定ができると考えられます。
多職種間で根拠をもって意見を共有できる
各々の専門分野に特化した多職種は、自分の分野に関する知識や情報を持っているため、医療現場では根拠を持って意見を共有することができます。
問題の本質を捉え、適切な解決策を考えられる
クリティカルシンキングは「なぜそうなるのか」「本当に正しいのか」と物事に対して常に疑問を抱きながら考えるため、表面上だけの情報を鵜呑みにせず根拠を用いて判断するため、適切な解決策を考えられます。
思い込みや経験則だけに頼った判断を防げる
誰にでも「今までの経験上こうだったから今回も同じだろう」など、思い込みや考え方のクセがあることを前提に、クリティカルシンキングを行うため、思い込みやこれまでの経験則だけに頼った判断を妨げることができます。
医療現場でも新人の頃は疾患や治療など何もかもが初めてのため、必然的に「これはどう言う意味?」「なぜこの治療をするの?」など様々な疑問を抱いていたと思います。
ですが、経験値を重ねることに、この疾患だと行う治療やその後の経過などある程度の予想がつくことも多いでしょう。ですが、いつどんな時でも初心に戻り、疑問を抱きながら得られた情報から正確なアセスメントを行うことが大切です。
クリティカルシンキングを実践する流れ
では実際にクリティカルシンキングを実践するにはどのような流れで行えば良いのでしょうか。ここでは実際の流れについて述べていきます。
何を判断・解決したいのかを明確にする
まず、「何を解決するのか」「何をしたいのか」「最終的に目指している状態は何か」といった課題や目的を明確にすることが重要です。目指すゴールが定まっておらず、目的が曖昧なままでは、議論や思考の方向性がぶれ、なかなか結論に至らないことがあります。
そのため、予め、最初の段階で具体的なゴールを設定し、関係者間で認識を共有しておくことが大切です。
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前提や情報の根拠を確認する
次に、前提となっている情報が本当に正しいのかを、一度疑って確認することが大切です。自分の経験や憶測、思い込みだけで判断せず、可能な限り、客観的な事実に基づいて情報の正しさや妥当性を検証する必要があります。
あえて疑う視点を持つことで、見落としていた点や偏った考えに気づき、より正確な判断につなげることができます。
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考えられる原因や可能性を整理する
続いて、現状の課題や問題点をできるだけ多く洗い出し、目的との違いや原因、関連する要因を整理します。そのうえで、重要度や影響の大きさから優先順位をつけ、特に解決すべき課題を選びます。
解決策を考える際は、客観的な事実やデータをもとにさまざまな視点から複数の仮説を立て、一つの考えに固執せず比較・検討することが大切です。
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根拠をもとに対応を選択・実行する
課題の分析が終われば、仮説をもとに解決策を実行します。
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結果を振り返り、判断を見直す
解決策を実行した後は、結果や効果を振り返り、PDCA(計画・実行・評価・改善)を繰り返しながら改善していくことが大切です。一度で完璧な解決を目指すのではなく、結果に応じて修正を重ねることで、より効果的な解決策につなげることができます。
クリティカルシンキングを実践する際のポイント
クリティカルシンキングを実践する上で、以下のポイントをおさえておきましょう。
情報の前提や根拠を確認する
与えられた情報や当たり前だと思っている前提をそのまま受け入れず、「本当に正しいのか」「他の可能性はないのか」と疑って考えることが大切です。情報の根拠を確認し、反対意見も含めてさまざまな視点から検証することで、より客観的で正確な判断につなげることができます。
事実と意見を分けて考える
客観的に確認できる「事実」と、個人の考えや判断である「意見」を区別することが重要です。両者を混同すると主観に偏った判断につながるため、情報を受け取る際には、それが事実なのか意見なのかを意識して整理することが大切です。
複数の可能性を考え、検証する
思い込みや先入観にとらわれず、「仮説を立てる→検証する」というプロセスを繰り返すことが大切です。仮説をデータや事実と照らし合わせ、結論が本当に妥当なのかを確認することで、より根拠のある正確な判断につなげることができます。また、別の可能性を考えることで、新しい視点や解決策を見つけることにもつながります。
医療現場におけるクリティカルシンキングの実践事例
例えば、訪問看護で「利用者さんの血圧が普段より高い」という場面を考えます。
① 情報を整理する
まず、「血圧が高い=病状が悪化した」とすぐに判断せず、現在の血圧・脈拍・体温・SpO₂などのバイタルサインや、普段の値と比較します。また、頭痛や胸痛、息苦しさなどの症状がないか、服薬状況や食事・睡眠、排泄などについても確認します。
② 前提を疑う
「血圧が高いのは病気が悪化したから」と決めつけず、「測定条件が違ったのではないか」「緊張や疼痛が影響しているのではないか」「薬を飲み忘れていないか」など、他の可能性も考えます。
③ 事実と意見を分ける
「血圧が160/90mmHgだった」は測定によって確認できる事実ですが、「病状が悪化している」はそこから導いた判断・意見です。事実と推測を分けて整理することで、思い込みによる判断を防ぎます。
④ 仮説を立てて検証する
例えば「疼痛によって血圧が上昇しているのではないか」という仮説を立てた場合、疼痛の程度や原因を確認し、安静後に再測定するなどして検証します。改善がなければ、服薬状況や他の症状など、別の可能性についても検討します。
⑤ 根拠をもとに判断する
確認した情報を総合し、必要であれば主治医や看護師間で情報共有を行います。そして、「経過観察でよいのか」「再度訪問・測定が必要なのか」「医師へ報告・相談する必要があるのか」など、根拠に基づいて対応を決定します。
まとめ
クリティカルシンキングとは、目の前の情報をそのまま受け入れたり、最初の印象だけで判断したりせず、事実と推測を分け、複数の可能性を考えて検証し、根拠をもとに判断することです。医療現場では、患者・利用者の安全に関わるため、特に重要な考え方です。
参考文献
・リクルートマネジメントソリューションズ 記事タイトル「クリティカルシンキング(批判的思考)とは?トレーニング方法などを解説」 https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000040/ 最終アクセス日 2026.09.12
・HRプロ 記事タイトル「クリティカルシンキングとは?メリットや実践方法、ポイント、鍛え方までわかりやすく解説|ミライイ」 https://www.hrpro.co.jp/miraii/post-4272/ 最終アクセス日 2026.09.12
・SKYMENU Cloud 記事タイトル「クリティカルシンキングとは何?実践手順やメリットについて解説」 https://www.skymenu.net/media/article/3505/ 最終アクセス日 2026.09.12
・関西創造大学 情報デザイン学部 記事タイトル「批判的思考(クリティカルシンキング)とは?必要性や実践方法なども徹底解説!」 https://kaishi.ac.jp/info-d/column/column-list/critical-thinking/ 最終アクセス日 2026.09.12
・ナースのヒント 記事タイトル「クリティカルシンキングを用いた看護過程の展開・問題の解決」 https://j-depo.com/news/critical-thinking.html 最終アクセス日 2026.09.17
・J-Stage 記事タイトル「クリティカル・シンキングを用いた看護介入-アセスメントを中心に-」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnwocm/2/1/2__4/_pdf 最終アクセス日 2026.09.24









